イベントレポート

よみがえる金シャチ伝説って?なんだろう-新世紀名古屋城博レポートその1

記事公開日:2005年4月18日 更新日:

 少し前の話になります。桜の季節がやってくると私は例年、名古屋城の桜を見に行きます。桃色の花びらのなかにチラチラと見える金のシャチホコに風雅の趣を感じます。私の中に流れる名古屋っ子の血がそう思わせるのでしょうか。さて、今年はいつもと違い、お花見だけでなくもうひとつの目的を持って名古屋城に行くことにしました。

 名古屋城では、愛・地球博に合わせて3月19日から6月19日まで「新世紀・名古屋城博~よみがえる金シャチ伝説~」が開催されています。博覧会の目玉は、いつもは天守閣の上にある金シャチに直接触れるというもの。そんな機会は滅多にありません。私は興味津々なのですが、相方は名古屋っ子では無いので特に金シャチに思い入れがありません。でもお花見を兼ねてなら...ということで一緒に行くことにしました。相方はまず正門で驚きます。

驚きの入場料金と驚きの待ち時間

 西の丸正門に到着です。正門前のお堀には両側から桜が垂れ下がるように咲き誇っています。名古屋城の入城料金は500円です。愛・地球博の入場券を見せると400円(小人は100円→80円)に割引されるのですが...それはこの新世紀名古屋城博が終わった後の話です。名古屋城博期間中は大人1000円、小人300円、65歳以上700円で、しかも愛・地球博の入場券呈示による割引は行っていません。ややこしいですし、何かこう必死な感じがします。どうして必死なのか。名古屋城はお金集めに必死なわけがあります。それは追々わかります。

 相方が驚いたのはその入城料金にではありません。「金シャチドーム待ち時間○○分」という看板に驚いたのです。

「金シャチを触るのに待ち時間ができるなんてことがあるの?」

 相方は、まだまだ名古屋っ子にとって金シャチがどういう存在であるかを理解できていないようです。

まずは金シャチを見に行きます

 お花見や食べ物を買うのは後回しにして、とりあえず金シャチを見に行きます。正門から入り、天守閣のある本丸ゾーンを越え、二の丸ゾーンに入ると左手に金色のドームが見えてきます。そのドームこそが金シャチに触ることができる「金シャチドーム」です。ドームには、この名古屋城博のサブタイトルにもなっている「よみがえる金シャチ伝説」という文字があります。

「よみがえる」とはどういうことなのでしょうか。金シャチはずっと天守閣にいます。無くなってしまった物が今回復元された、というわけではありません。

名古屋っ子にとっての金シャチとは

 金シャチドームは土日に限って、金シャチにまつわる展示と、金シャチそのものの展示コースにわかれており、それぞれで列に並ぶことになります。平日は両方一度に見ることができます。まずは金シャチにまつわる展示から。金シャチの数奇な運命をたどります。金シャチは明治維新により生まれた政府に没収され、国益のために溶かされてしまいそうになり、あわやというところで外国人に救出されます。

 また、この初代金シャチの雄は空襲によって燃え、雌は溶けてしまいます。溶けた雌が姿を変えた茶釜も見ることができます。そして二代目となる現在の金シャチが完成したときのパレードの様子や、わかしゃち国体のマスコットに、鯱バスのエンブレムなど、シャチにまつわる名古屋のあれこれも展示され、名古屋っ子にとって金シャチがどういう存在なのかを理解することができます。

 他にも「雄と雌の見分け方」という、名古屋っ子にとっては必須の知識も身につきます。さて、金が野ざらしになっていれば誰でも欲しくなります。金シャチのうろこ盗難事件については特設コーナーで詳細に説明されており、大凧に乗って金シャチのうろこを3枚盗んだという伝説で名古屋では有名な、あの柿木金助も登場します。

 ところで、戦争の際に雄は燃えてしまったのに、なぜ雌は溶けただけで残ったのか。それは雌は地上に避難していたからです。空襲がひどくなり、金シャチを避難させようとまずは雌を降ろし、雄を下ろそうとしていた矢先に爆撃を食らったのです。結局お城共々無くなってしまったものの、金シャチを避難させようとしたり、戦後比較的早くに金シャチと名古屋城を復元させたことに、相方は特に感心していました。これらの伝説を紐解いていることが、どうやら「よみがえる」の所以のようです。

金シャチにタッチ

 いよいよ金シャチタッチ導線に並びます。雄、雌の順に触ることができます。触れると言っても本当にたくさんの人が並んでいるので、立ち止まることはできず歩きながら触ることになります。ドームの中は熱気で充満しています。触っている人たちの姿を見ると、特にお年寄りは感慨深そうに、ありがたそうに手でも合わせような勢いです。

金シャチが天守閣から地上に降りるのは21年ぶりです。21年前にも「名古屋城博」が開かれていて、私は母親に連れられて見に来た記憶があります。でも、そのときは触ることはできませんでしたので、私も相方ももちろん触るのは初めてです。

 金シャチに触って驚いたこと。それは金の性質のせいでしょうけど、しっとりしているのです。ものすごく優しいのです。もっと金属的なシャープな表面を想像していたので意外でした。金シャチの歯の部分は金で無いので触り比べるとはっきりわかります。あっという間でしたが、いつもは遠くから眺めるだけの金シャチを触ることができたなんて、名古屋っ子としては感慨無量です。

金シャチドームを見終わって

「なんか、名古屋の人にとっての金シャチの存在が少しわかった気がする。」

 と、名古屋っ子では無い相方がつぶやきました。万博の開幕直前、金シャチが市中パレードをしたニュースが全国ネットで流されましたが、そのとき全国の方々は、なぜ名古屋っ子がありがたそうに金シャチを見ていたのかを理解することができなかったと思います。金シャチドームでその謎は解けるでしょう。ぜひ金シャチを触ってみてください。

 でも、いくら金シャチが魅力的だからと、平成の柿木金助になってはいけません。警備員が常時金シャチを見張っていますし、万が一、金のうろこをポケットに入れることに成功したとしても、金シャチドームの出口には金属探知機が設置されていますから...。

 本物の金でできたお土産用の金シャチもありますので、どうしても欲しい場合はお買い求め下さい。ちなみに金シャチドーム内は写真撮影できません。それはなぜか。フラッシュが金シャチの金に反射して、目に悪い影響を与えてしまうから...かな。

関連情報

名古屋城(名古屋・中区)MAP

名古屋城

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