トッピーの放送見聞録 放送事情レポート

送信所まである!?東京証券取引所・東証アローズとテレ東と放送

記事公開日:2013年1月10日 更新日:

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★おお!テレビ東京でよく見る風景!やっぱりいた!
★立会場があった頃の面影もあります
★東京証券取引所中継局があるとは知らなかった

 私と同じくテレビ東京が大好きというツイッターのフォロワーさんと一緒に、テレビ東京関連施設の聖地巡礼をしたのですが、もう一ヶ所、テレビ東京とは直接関係ないけれども、テレ東といったらココということで、東京証券取引所に見学へ行ってきました。

 経営危機を日本経済新聞社の支援によって乗り越えたことを発端に、日本経済新聞社とテレビ東京は密接な関係にあり、テレビ東京の報道は、夕方のニュース番組を除いてはすべて経済報道が中心となっています。現在は組織変更されましたが、かつては「経済報道部」という部署があったほどです。

 テレビ東京といえば経済、株式ニュース。株式ニュースといえば東証アローズです。

おお!株式ニュースの建物だ!

 地下鉄茅場町駅から平成通りを北東へ。証券会社や金融機関がズラリ。そうここが日本橋兜町。兜町ですよ。実はかつて、私には株で生計を立てた時期がほんの少しだけあったのですが、ここへ来るのは初めてです。

 そして、証券取引所前交差点で思わず「おおっ!」です。そう、かつてテレビ東京で放送されていた、株式ニュースのオープニングとエンディングで使用されていた東証の正面です。ここの景色を見ると思わず「提供:岡三証券」という文字が脳裏に浮かびます。まあ、そんな岡三証券もテレ東の株式ニュース番組からは降板してしまいましたね...。

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厳重ですね...

 しかし、見学者はこの本館からではなく市場館の西口エントランスからの入場になります。気になったのは、あまりにも活気がないこと。もちろんこの日は取引のある日です。昔のドキュメンタリーで見たような兜町が残っているとは思ってませんでしたけど、こんなに静かなものなの?

 では、いざ東証へ。見学は休日と年末年始を除いて、午前9時から午後4時まで誰でも自由に入場することができます。予約は必要ありません。ですから逆にセキュリティは厳重です。空港のような金属探知機でチェックされます。手荷物を預けるロッカーが用意されていますので、旅行者も身軽に見学できます。

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日本の証券市場の歴史がリアルに

 まずは入口横にある東証プラザ「証券史料ホール」へ。ここでは、日本の証券市場の歴史について、実際の史料で振り返ることができるようになっています。明治時代に「東京株式取引所」として誕生したその頃の株券やから事務用品、灰皿や盃といったものまで実物がずらり。

 ものすごくレトロな絵に「復興貯蓄債権」という文字が描かれたポスター。復興債券という文字に今の時代を想像させられてしまいますが、実はこれ、関東大震災の復興時のものなのです。その後、戦後に東京証券取引所になってからのものや、なでしこジャパンによるサインボールまで。まさに、明治から今日までをじっくりと見られます。

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おお!これだ!

 ではエスカレーターを上って順路に沿って進んでいきましょう。すると、出ました。あの、いつもテレビで見る風景「マーケットセンター」です。透明な円筒状のスペース。上のチッカーには株価が流れ、下では売買管理業務が行われています。

 このチッカー、取引量が少なくなるとゆっくりで、多くなると速くまわるそうです。売買高が増えれば増えるほど高速になるとは知らなかった。

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 その手前には「オープンプラットフォーム」があります。ここではセミナーが行われたり、上場記念式典などが行われたりします。その映像もよくテレビ東京のニュースで見かけますよね。

 この日は特に何も行われておらず、ガラーんとしていたのですが、1台だけカメラが設置してあり、2人のスタッフが交代でずーっと16面マルチ画面の200インチモニタを撮影し続けています。きっと、日経平均が大きく動いたりした際に、その瞬間をニュース映像に使用するためだと思うのですが、その一瞬を撮るために、場中ずっとここに張ってるんですかね...。

 見ると、やっぱりそのカメラはテレビ東京のものでした。テレビ東京の報道カメラマンには、この東証に一日張り付くという当番があるのでしょうかね...。

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回廊をぐるっとまわります

 では、そのマーケットセンターをぐるっとまわれる回廊を歩いてみましょう。まずは「東証プラザ」と「マーケット・エクスペリエンス・コーナー」。

 先ほどの200インチモニタの背後にあたる東証プラザには様々な端末があり、証券について学ぶことができる端末や、QUICKなどの端末を自由にさわることができます。ここにいれば株価材料がリアルタイムでチェックできますね。

 マーケット・エクスペリエンス・コーナーでは、株式の模擬売買ができますが、まあ、今さら模擬で売買しても...なので、横目に見て次へ。

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ここから各局生中継してるのね

 2階の回廊は、マーケットセンターと大型スクリーンをぐるっと回れるようになっているのですが、その、スクリーンを背後にした位置に設けられているのが「メディアセンター」です。

 12のブースのうち11ヶ所が使われており、TOKYO MXと三重テレビでも放送されている「ストックボイス」が2つのほかは、それぞれ1つずつで「NHK」「日本テレビ」「TBS」「フジテレビ」「テレビ朝日」そして「テレビ東京」「日経CNBC」「ラジオnikkei」となっています。そして意外なのが「新華社通信」。常設でいるんですね。

 位置関係も紹介されていまして、これを見ると、各局の東証アローズでのカメラ位置が把握できます。確かに、日テレNEWS24はこの角度だ!とか、テレビ東京のニュースでも日経CNBCからの時はこの角度だね!と納得です。

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リフレッシュルームに地デジ送信アンテナ

 さらに、かつては「オープニングベル」として使用された鐘の置かれた「VIPテラス」や、これまで訪れたVIPの写真、大型スクリーンを操作しているブースなど、ぐるっと見ながら回っていきますと「リフレッシュコーナー」があります。

 リフレッシュコーナーには自動販売機や喫煙スペース、テーブル・椅子などが設置されていて、見学者も自由に利用できますが、見学者以外も利用しています。この日も、疲れきったマスコミ関係者と思われる方が、机に伏せていました。

 ここにはテレビが設置されているのですが、実はこの東京証券取引所には、テレビの中継局が設置されています。受信障害対策で、東京証券取引所が免許人となり、NHK2波と民放6波が1mwという微弱な電波で放送されています。その放送区域はこのリフレッシュルーム、オフィス、会見場・会議室、地下1階で、なんとこのリフレッシュルームのサイン灯が「サイン灯型GFアンテナ」となっていて、ここから地デジ電波が出ているというのですから驚きです。

 そして、特徴的なのがトイレです。男性用しかありません。そう。いくらリニューアルして近代的な施設になっていても、建物自体は1985(S60)年のままなのですよね。当時はまさに男の職場だったのでしょう。

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かつては立会場だったのです

 そう。かつて東京証券取引所といえば、男たちがひしめき合い、受話器をいくつも握り締め、指で取引のサイン「手サイン」を示し、怒号が飛び交う...そんなイメージでした。

 私がまだ小学生だった頃に開局した、テレビ愛知という新しいテレビ局では、その様子がオープニング映像で使われた「きょうの株式」という番組が放送されるようになり、当時意味がよくわからなかったものの、学校から帰ってくるとアニメの後にその「きょうの株式」を見る毎日でした。その意味がわかるようになるには、もう少し時間がかかりました。

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 1985(S60)年にこの東京証券取引所新市場館が竣工し、時代が進むにつれて売買システムが導入され、取引のオンライン化は進みます。そしてとうとう、1999(H11)年4月30日に「株券売買立会場」は閉場。全てが機械による取引へと移行されました。その跡地にオープンしたのがこの「東証Arrows」です。

 ですから、よく見ると昔の名残もあるのです。壁面を見ると、この2階のさらに上、3階に今はまったく使われていない、展望スペースのような場所があります。実はここ、かつてのラジオたんぱ用ブースなのだそうです。

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 以前は、立会場では手サインによる取引が行われ、株価は電光掲示板に表示されていました。その表示板をここから双眼鏡などで確認しながら、ラジオで株価を実況していた...というわけですね。

 そんなラジオたんぱもラジオNIKKEIとなり、かつては東証から放送していた株価実況も、本社のスタジオからとなり、先ほどメディアブースのところに「ラジオnikkei」という表示はありましたが、実際にはもうこの東証からの放送は行っていないとのことです。

 今や全てオンライン時代。メディアどころか、一般の投資家でさえ、パソコンやケータイでリアルタイムに株価を確認できる時代。わざわざこの東京証券取引所に来なくとも、情報端末から同じ情報を得られますし、取引も可能です。

 兜町に人がいないのも、この東証にかつてのような活気が無いのも、当然のことです。今や売買発注の指示さえコンピュータープログラムが出しているなんてことも。株取引そのものが、人と人との間で行われるものですらなくなっているのです。

 そんな時代になっても、東京証券取引所でカメラを回し続けるテレビ東京。それは「手を抜かない」なのか「時代遅れ」なのか。

 いや、テレビ東京のこの姿勢は、活気のあった証券市場、活気のあった兜町、活気のあった東証に、思いを馳せているのでしょう。「いつかまたあの高度経済成長を再び!」

 あ、でも、この場所で思いを馳せられる「あの頃」は、80年代ってことだから、高度経済成長じゃなくてバブルか...。「いつかまたあのバブルを再び!」だと...あんまりそれは...。

関連リンク

テレビ東京報道:ニュース・経済
東京証券取引所

関連情報

東京証券取引所(東京・中央区)MAP

東京都中央区日本橋兜町2-1

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