トッピーの放送見聞録

FMらら・いよいよ開局へ...密着レポート!

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★岐阜県・可児加茂地区に新たなFM局が誕生
★7月24日午前11時開局!
★実は私も...

 トッピーネットでのここ最近の放送の話題といいますと、「役目を終えた」ですとか、「閉局」ですとか、後ろ向きな話題が多かったのですが、今回は久々に明るい話題です。岐阜県可児市、美濃加茂市、御嵩町を放送区域とする、新しいコミュニティFM放送局が開局することとなりまして、密着取材をさせていただいています。

 開局するのは、FMラインウェーブ株式会社が運営する「FMらら(エフエムらら)」。7月24日午前11時の開局に向けて、現在、急ピッチで準備が進められています。

 このエリアにはかつて、コミュニティFM放送局がありました。しかし、残念なこととなった過去があります。今回の新FM局は、その残念なことになった局の復活ではなく、全く新しい局としてのスタートであり、以前の局を継承しているわけではありませんが、なぜ新FM局が誕生することになったのかを考察するにあたり、その経緯も改めて振り返ってみます。

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FMラジオを失ったのはあの日

 今から2年半ほど前のこと、番組の制作をやめざるを得ない状況に陥ってしまったコミュニティFM放送局がありました。岐阜県の可児市と美濃加茂市を放送エリアにしていた、株式会社かにかも放送の「FMでんでん」です。

 FMでんでんは、2009(H21)年12月31日をもって番組の制作を終了、翌日からは24時間音楽だけが流れている状態となりました。それから半年後の7月15日、この地域で大きな豪雨災害が発生するのですが、FMでんでんは無音に。そして8月には電波も止まり、10月31日をもって免許が満了となり、廃局となりました。

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災害時のFMラジオの必要性

 その2010(H22)年7月15日、この地域を襲った「7・15豪雨」。可児川が氾濫して市道のアンダーパスが水没。3人が車ごと流され、1人が死亡、2人が行方不明となってしまいました。

 この地域は、NHKや大手の民間放送局の拠点がある名古屋からも岐阜からも距離があり、局地的な災害となると、その速報が広域の放送で伝えられることはほとんどありません。あの豪雨の日も、NHKは名古屋と岐阜の情報がほとんどで、この地域がどうなっているのか、ラジオでは全くわからない状態でした。

 同じ日、おとなりの犬山市では、コミュニティFM局が市役所から逐一情報を流していたのに対し、FMでんでんは無音。その姿は対照的でした。

 もし、あの時、可児市のコミュニティFMであったFMでんでんが災害情報を流していたら、何かが違っていたかもしれません。コミュニティFMがある街だったにもかかわらず、それを生かせなかったことは、市にとっても市民にとっても、ただただ残念としか言いようがありませんでした。

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ラジオ局を運営するということ

 いくら、公共的な役割を果たしているとはいえ、放送局は営利企業です。この地方では、名古屋中エフエムラヂオ放送、名古屋シティエフエム、かにかも放送といったコミュニティFMだけでなく、大手民放ラジオ局だったRADIO-i(愛知国際放送)も、経営難から放送を停止、免許を返上しています。

 純民営だったFMでんでん。放送を停止するきっかけになったのは経営難からでした。とはいえ、災害時に名古屋や岐阜からこの地域の情報発信は期待できず、地元から情報を発信するFM放送局が、この地域に絶対に必要であるということは、行政も市民もあの豪雨で痛感していました。

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待望の新FM局開設へ

 豪雨災害から2年。可児市、美濃加茂市、御嵩町、可児商工会議所、そしてケーブルテレビ可児が中心となり、FMラインウェーブ株式会社が2012(H24)年5月に設立され、新FM局開局への準備が始まりました。

 放送エリアの狭いコミュニティFMですが、大手の放送局と同じように国の免許事業であり、総務省から認可を得る必要があります。しかも昨今、全国でラジオ局の倒産や閉局が相次いでいることから、先の収益の見通しがたっていない事業者には、なかなか放送免許は下りないといわれています。

 特に、このエリアはかつて一度、FM局を倒産させてしまっているわけですから、相当綿密な事業計画、磐石な地元のバックアップ体勢を示さない限り、免許はおりなかったのではないでしょうか。そこは、行政のバックアップも含めてということになったのでしょうけれども。

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6月・予備免許交付

 そんなFMラインウェーブ株式会社に、待望の予備免許が交付されます。6月14日のことでした。予備免許が交付されれば、電波が発射できるようになり、その電波が適正であると認められれば、本免許が与えられるという流れです。

 FMラインウェーブ株式会社は、かつて公民館の屋上にアンテナを設置していたFMでんでんとは異なり、山のてっぺんに送信アンテナを設置しました。可児市西部にある標高312メートルの鳩吹山です。FMの電波は、発射する場所が高ければ高いほどエリアが広くなります。そのため、出力は10wしか認められませんでしたが、かつてFMでんでんではカバーしきれなかった、可児市の東部や御嵩町も、鳩吹山からの電波でしっかりカバーできるようになりました。

 実は、鳩吹山の山頂にアンテナを上げるのは、かつてFMでんでんの夢であったそうです。

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災害時に強いFM局

 電波を発射するのは鳩吹山に変わりましたが、番組を制作する場所は、FMでんでんが使用していたのと同じ、ケーブルテレビ可児社屋内にあるスタジオです。

 1階にあるAスタジオは、オープンスタジオとなっていまして、誰もがその様子を見ることができるようになっています。

 FMラインウェーブ株式会社の本社がある4階には、マスター、Bスタジオ、そしてCDライブラリーがあるのですが、そのCDの数に圧倒されます。なんと、約3万5千枚のCDとEPがあるのです。ライブラリーも含め、FMでんでんの遺産を引き継いでいます。しかし、あくまでも引き継いでいるのはこのソフトのみで、スタジオ内の機材などハード部分は今回新しいものに入れ替えたそうです。

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 さらに、過去の教訓から、災害時のバックアップ体制が充実しています。

 鳩吹山の山頂には、車が乗り入れることができないため、機材はヘリコプターで搬入しているのですが、その機材のなかに、非常用電源があります。さらに、普段はスタジオと送信所を光回線で結んでいるのですが、その光回線が万が一使えなくなってしまった時のために、無線(STL)でもつながるようになっているのです。

 非常用電源にSTL。災害対策は万全です。

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試験電波が発射されると...

 6月27日(水)、試験電波の発射が開始されました。試験電波が発射されると、その電波がチェックされ、いよいよ開局へのカウントダウンが始まります。

 パーソナリティやミキサーの募集は、会社設立前の4月の段階から行っており、面接を経て、7月に入ると、採用となった人たちの練習もスタート。CMを録音したり、営業資料を作成したり、「受信報告書」という、電波の状況を報告してくれた人に送るベリカードを作ったり、開局記念式典の段取りをしたりと、社員が開局までにやるべきことは山積み。

 しかし、予備免許による電波の調査を終えた上で本免許となるため、本免許交付がいつになるのかはわからず、ゴールがいつなのか手探り状態での準備となります。

 さらには、ホームページの作成、タイムテーブルの作成といった事務的なことから、放送局の根幹となる、ステーションネーム、ロゴ、イメージキャラクターの策定と、全てが並行して進んでいきます。ソフト面とハード面の両方を前へ前へとあわただしく転がしていきます。

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ハード面での驚き

 ハード面で驚いたのは、オーディオプロセッサーの威力です。これまでも、ラジオ局はプロセッサーを入れると音質が劇的に変わるということは、頭では理解していたのですが、それを実際に聞き比べたことはありませんでした。

 しかし今回、当初の試験放送開始直後は、プロセッサーの調整がなされていない状態での放送だったものが、7月に入ってしばらくすると、音質の最終調整がなされプロセッサーを通した音に変わったため、その違いを実感することができ、あまりの違いに驚きを隠せませんでした。

 音がよくなったというよりは、すごく聞き取りやすい放送になったという感じがしました。

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ソフト面での驚き

 ソフト面で驚いたのは、開局時から生番組を1日6時間放送するということ。パーソナリティ52名とミキサー2名が、月曜から土曜の生放送を担います。しかも、生放送は全てオープンスタジオからの放送になりますので、開放感と親近感があります。

 また、1日6時間の生放送以外の時間も、午前7時から午後9時までは自前の音楽番組をラインナップ。このあたりは、ライブラリーの充実ぶりが光りますね。それ以外の時間もノンストップミュージックなどを編成し、24時間放送を実現します。将来的には、地元生番組の比率をさらに上げていきたいと考えているとのことです。

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鳩が繋ぐ、鳩が行き交う

 ステーションネームは「FMらら」に決まりました。それ以外にも、様々な愛称が候補にあがったのですが、親しみやすい名前を、大切な言葉ほど短く、覚えやすくわかりやすい言葉をということで、会社名であるラインウェーブの「ら」、人が音で交流する「音の駅」を目指すという思いからの「ら」などの思いをこめて「FMらら」となりました。

 また、型にはまったロゴ運用ではなく、「FMrara」「らら」「エフエムらら」など、時と場合に応じて運用できるよう、数多くのロゴパターンが作成されています。

 そして、イメージキャラクターには「鳩」を採用。電波を送信するのが鳩吹山であることから、鳩を通じて情報を伝え、地域に幸せを運び、さらに、伝書鳩のように返信してもらえるようにという願いが込められています。

 ロゴ、キャラクターともに、白・ピンク・茶色、そして局のイメージカラーであるグリーンを基調としており、自然豊かな街で、人と人が心でつながるイメージが表現されています。

 FMららのアートディレクションは、私もいつもお世話になっています、放送エリアに隣接する関市在住のアートディレクターMAKEOVERS・加納裕泰さんが担当されました。

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開局へのカウントダウン

 18日、本免許が交付され、開局は7月24日(火)午前11時に決定しました。いよいよ、可児加茂地区にFMラジオが帰ってきます。かつてのFMでんでんのパーソナリティたちも復活する形になっていますが、FMでんでんの復活ではなく、新しく「FMらら」が、まっさらな状態からスタートを切ります。

 開局当日は、開局記念式典が終わり次第、午後11時から開局記念特番が編成されます。

 いざというときにはこの地域の命綱となり、普段は地域と人を繋ぐ役目を担う綱となるラジオが、再び。

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 今度こそ、もう二度と手放さないように、地域とともにあゆむ放送局として、みんなでつくる、みんなで育てる、みんなのとなりにあるFMららが、永遠に続くことを願うばかりです。可児加茂地区にはその土壌があるはずです。

 今、この、ラジオが苦しいといわれている時代に、産声を上げるFMらら。東海3県では、なんと3年ぶり。久々の新しいラジオ局の誕生となります。

 私も近くに住んでいますので、様々な面からFMららのお手伝いをさせていただいています。パーソナリティも務めさせていただきます。このことからも、懐の深い放送局であることがわかります。きっと、他のメンバーも、バラエティ豊かな個性あふれるラインナップになっているのでしょうね!

 現在は、電話でレポートをしてくれる、取材レポーターを募集しているとのことです。空いた時間に、地元の話題を電話で生レポート。あなたの声をラジオに乗せてみてはいかがでしょう。

 FMらら、76.8MHzにて、7月24日午前11時に開局です。

FMらら(岐阜・可児市)

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