トッピーの放送見聞録

本気でやってるから聞いていて楽しい-豊田市の地域ラジオ局・RADIO-LOVEAT

記事公開日:2006年10月24日

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 今年7月、この放送見聞録では、犬山市に新たに開局したコミュニティFMを取り上げたことがありました。コミュニティFMとは市町村単位で放送するFM局で、1992(H4)年に郵政省(当時)が制度化したものです。名古屋近郊にはその犬山が開局する以前からたくさんのコミュニティFM局があるのですが、その中で、今年開局5周年を迎えた豊田市のエフエムとよた「RADIO-LOVEAT(ラジオ・ラブィート)」を取材する機会に恵まれました。

 開局以来続くという、学生の企画制作による番組を見せていただいたのですが、自分の学生時代を久々に思い出すこともでき、個人的にもとても刺激的な時間を過ごすことができました。自動車産業の街、豊田市のラジオ局について今回はレポートします。

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ケーブルテレビ局が中心となって設立

 RADIO-LOVEATは、豊田市のケーブルテレビ局「ひまわりネットワーク」が中心となって設立されたコミュニティFM局で、2001(H13)年1月1日に開局しています。本社、スタジオともにひまわりネットワークの社内の一角にあり、電波も屋上から発射されています。周波数は78.6MHz、出力は20wで旧豊田市と三好町、そして周辺市町村の一部をカバーしています。

 この旧豊田市というのがポイントで、豊田市は2005(H17)年4月1日に6町村を編入合併し、愛知県で最も大きな自治体となったのですが、さすがにその面積全てをカバーするには至っていませんので、エリアは「旧豊田市」のままというわけです。電波はこの本社からの20wのほか、野口中継局から0.1wでも発射されています。24時間放送で、そのうち午前7時から深夜1時までのほとんどが自社製作の番組となっています。

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番組の種類が豊富・パーソナリティもたくさん

 驚くべきは番組の数の多さです。出演しているパーソナリティは50人以上。これはコミュニティFM局ではかなり多い方です。しかも全てボランティアでは無いとのこと。その状態で累積損失も全て解消しているというのです。ワイド番組は最長でも3時間。

 さらに、編成はワイド番組だけではなく、1時間の番組が多いのも特徴です。そのため各番組のコンセプトがしっかりとしており、若者向けトーク番組から演歌、クラシックといった様々なジャンルの番組がありバラエティに富んでいます。開局当時はHOME MADE家族のMICROさんが番組を担当していたとのこと。しかもワイド番組を担当しており、当時はニュースや天気予報も読んでいたというのですから驚きです。

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豊田市だけに渋滞情報は重要

 スタジオは本社に若草第1スタジオと第2スタジオの2つ。そして豊田市ITS情報センター内に「みちナビサテスタ」があり、朝と夕方以降は本社から、デイタイムはサテライトスタジオからの放送になっています。交通情報は1日8回、豊田市内の混雑情報をリアルタイムで伝えます。さすが自動車の街豊田市です。

 そして特筆すべきは、豊田市と三好町のニュースがあることです。ニュースソースはひまわりネットワークから提供されるものだけでなく、自前でも取材を行っているとのこと。これは地元住民にとっては有用です。

いざスタジオを見学

 生放送は第1スタジオとサテライトスタジオからです。第1スタジオを見せていただいたのですが、ワイド番組はワンマン放送が基本ということで、CDプレーヤーやMDプレーヤーを全て手元で操作しながら、ミキシングをしながら、話せるスタイルになっています。県域局のような、ミキシングルームとスタジオがガラスで仕切られた、いわゆる「金魚鉢」スタイルにはなっていません。

 しかし広さは充分にあり、3~4人での放送も可能になっています。ひまわりネットワークのオープンスペースに面していて、昼間であればオープンスペースから、このスタジオとひまわりネットワークのテレビスタジオを両側に見ることが可能です。

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 一方、録音番組などの制作に使われる第2スタジオはコンパクトにまとまっています。意外なのはレコードプレーヤーだけでなく、オープンリールデッキがあったことです。コミュニティ局でオープンリールってあまり見かけませんよね。どういった時に使うのでしょうかね。CM素材をオープンテープで納入するところがあるとか...まさかね。

 RADIO-LOVEATの放送は、FMの電波のほか、さすがケーブルテレビ局が作った局です、ケーブルテレビ「情報チャンネル」の副音声にも流されています。中継局やサテライトスタジオへの音声伝送は、通常NTTなどから回線を借りるために結構費用がかかるのですが、その伝送もケーブルテレビの回線を利用しています。そういったところで経費を浮かすことができているようです。そこでひとつ問題があります。

ケーブルとFMでエリアが異なる

 コミュニティFMというのは地元密着の小回りが効く存在ですから、やはり災害時には重要なツールとなります。そこでRADIO-LOVEATでは豊田市と三好町と防災協定を締結しています。ところがそのRADIO-LOVEATの放送がケーブルで流されているひまわりネットワークの放送エリアは、豊田市と三好町だけでなく長久手町も含まれています。

 長久手町は、ケーブルテレビはひまわりネットワークのエリアなのですが、コミュニティFMは瀬戸市のRADIO SAN-Qのエリアということで、ケーブルとFMでエリアが入り組んだ状態になっています。今後、緊急災害時に瀬戸のコミュニティFMとどう連携していくのかも、考えなければならないというお話もありました。

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学生たちが企画・制作する番組とは

 さて、訪れたこの日は月曜日でしたので、夜9時からは学生たちによる企画制作番組「ゲッツウェイ・わぐまま」が放送されていました。そのスタジオにお邪魔させていただきました。この番組は開局以来続いているもので、学生たちが企画から制作までをこなしています。

毎回ひとつのテーマでトークを展開するほか、ちょっとしたドラマ風のコーナーや、ニュースや話題を取り上げるコーナーもあり、とても学生がやっているとは思えない出来になっています。今から6年前に地元の大学に通う学生が企画書を持ち込んだことがきっかけで生まれた番組で、今回はその企画書を持ち込んだ一期生本人とRADIO-LOVEATを訪れました。

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 それから5年以上が経過した現在も、コンセプトやオープニング、エンディングテーマは変わっておらず、また、学生だから、ボランティア(当時)だからという目で見られるような番組にはしたくないという、立案者の思いは今も引き継がれており、とてもクオリティの高い内容、そして構成になっていました。しかも生放送の間ずっと皆さんとても楽しそう。思わず私は自分の学生時代を思い出してしまいました。

 番組終了後に学生の皆さんともお話させていただいたのですが、皆さん同じ大学というわけではなくあちこちの大学から集まっているとのこと。そうとは思えないチームプレイです。

ところが残念なことに、これだけ素晴らしいものを作っているというのに、皆さんラジオのプロを目指しているわけでは無いそうで、「もったいない!」と思わず口に出してしまいました。

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学生時代にコミュニティFMがあることがうらやましい

 私がなぜ自分の学生時代を思い出したのかといいますと、私が学生をしていたのは今から10年前で、当時はまだこのあたりにコミュニティFM局はありませんでした。ですが、私の通っていた大学内にはミニFMがあり、当然ここまで本格的なものでは全然ありませんでしたが、学食脇にサテライトスタジオがありました。何を隠そうそこで私は1年間「FM部長」なる肩書きで活動していたのです。

 もちろんミニFMですから、コミュニティFMと違って責任も無ければ、緊張感もありませんでした。でも、こうやって学生が集まってお金のためではなく、自らの表現の場としてラジオというツールを使って楽しくワイワイやる光景を、とても懐かしく思うと同時に、それがミニFMではなく、商業ベースに乗ったコミュニティFMであることをとてもとてもうらやましく思えました。

 大学時代に私が所属していたサークルから、芸能界へと進んでいった人は結構多くいて、その中には現在テレビやラジオ、そして歌手としてお笑い芸人として活躍している人もいます。そういう先輩や後輩を見ているので、これだけの番組を作っているわけですから、その経験を生かしてぜひプロの道へ進んでいただいて、ラジオの楽しさを広げて欲しいなぁと思うのですが、そればかりは、自分の進みたい道が別にあるのであれば仕方が無いことですよね。

 自分たちの伝えたいことを、自分たちの言葉、そして自分たちのテンポでこだわって送る。当たり前のことのようで、今のラジオでは当たり前では無くなっていることが多いそのことに、リアルに触れることができ、文章で自分の伝えたいことを発信している私にとって、ものすごく良い刺激を受けることができました。

 それにしても、開局前のこのRADIO-LOVEATに企画書を自ら持ち込もうとして、電話で一度は拒否されたにもかかわらず、企画書を書き直すなどしてこの学生枠を確保した一期生のはすごい。その行動力を見習いたいと思います。

 続いて、瀬戸市のRADIO SAN-Qについての記事はこちらから。

関連情報

RADIO LOVEAT
ひまわりネットワーク

取材協力

KAZ Communications

エフエムとよた(愛知・豊田市)MAP

愛知県豊田市若草町3-32-8

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